演劇実験室◉万有引力 創立40周年記念◉第76回本公演
砂漠の動物園
作・演出・音楽・美術◉Ｊ・A・シーザー
共同台本◉根本豊
構成・共同演出◉髙田恵篤
◉公演日程◉
6月7日（金）-6月16日（日）
ザ・スズナリ
【出演】
髙田恵篤 ラセン
伊野尾理枝 シナの建築家２
小林桂太 カタツムリ
木下瑞穂 磁石
森ようこ タマゴ
髙橋優太 カメン、 マナブ
𫝆村博 クルミ
山田桜子 ナジャ
三俣遥河 砂鉄
根本豊 砂漠の郵便局員
曽田明宏 斡旋ブリ
加藤一馬 監視人
飛田大輔 シナの建築家１
前田倫 リソウ、ニンニク
小林香々 セミナ
日南莉緒菜 キョリ
凜果 小百合
内山日奈加 (劇中歌唱録音)
●劇中歌●
♪唄「夢の砂漠」
順境か
夢想千里の引力か
今日の砂漠に
風が吹く
遵奉か
遠き幼児の思い出か
夢の砂漠に
火が燃える
♪唄「入れ子迷宮」
ぎっしり砂に埋もれた父親
砂 砂 砂
三歩踏みだし サンド サンド
サンド サンド サンド
見え隠れ
密にして疎 密にして疎
汗びっしょりの皮膚の下で
石の内蔵にノミを打つ
カチン カチン
カチン カチン カチン カチン カチン
カタツムリ カタツムリ
カタツムリ カタツムリ
自分のツバで 殻つくる
三重の入れ子 人は迷宮
身体は透明で 内を見せる
石は育って宝石になり
鉄は育って金になり
人は育って他人に入り
♪唄「西班牙犬の幻燈市街」
オルゴール 幻燈 万華鏡
ランプ トランプ 手風琴
西洋手品 マンドリン
鳩時計に ハーモニカ
文字盤の上では
卵頭の婦人と胡桃の紳士
息子の仮面の人形芝居
紳士は夢よと遠ざかり
一歩近づき蛆を吐く
ホテル 劇場 理髪店
楽隊 パノラマ 博覧会
十字巷路の噴水 遊園地
覗き眼鏡にゴム風船
街は人捨て
皮膚に書かれた風景となり
やがて家族の居間となる
麗しき距離よと遠ざかり
西班牙犬が家になる
砂時計 石版画 赤煉瓦の洋風家屋
廻転木馬 模擬飛行機 百貨店の広告気球（アドバルーン）
停車場之図 ホテル之図
海港之図 市街之図
まじょりか血
まじょりかテーブル
まじょりか椅子
まじょりか家族
まじょりか家庭
まじょりかの家
まじょりかの街
まじょりかの都市
まじょりか私
まじょりか架空
まじょりか空想
まじょりか理想の庭園 空に舞う
古い歴史と長い記憶は
私の錆びた肉体の地図
どこへとも
知らない群れ人が行く
砂一粒の大地球
♪唄「幸福の悲恋」
遥か離れし思い出は
歌にするには容易けど
遙か離れし悲しみは
口に出すのは容易けど
君を掴めぬ寂しさは
君を見つめえぬ苦しみは
海峡渡り異国の地
地球離れし宇宙人
君と居たい
君と居たいと思えば離れるこの距離は
何で埋めればいいのでしょう
どうすれば縮むというのでしょう
どこまで行っても人は悲劇
他人のうしろにかくれんぼ
♪唄「紫貝が皿に設計図」
隠された秘密を発見するため
あてがわれた水飲む人形
流れる水で鳴くわたし
この世ならぬ世界の発見
自動人形の卵の娘
他人の吐息で生くわたし
耳形渦巻き カタツムリ
自分の唾で殻つくる
紫貝と設計図
水力装置のアンモン貝
大きいはずの動物が
小さいはずの貝殻から
飛び出し さかさま砂時計
見えない隠れた下半身
見えない隠れた皮膚の下
球体動物
ベビーモス
ブラウニー
カーバンクル
カトプレパス
亀たちの母
カフカの想像
ルイスの想像
すべてのあなたは蜃気楼
遠近法の姿なし
目覚めて今日を幻燈すれば
古きユダヤの町が浮上する
唄「家具の孤守唄」
家具が喋る 喋り合う
死ぬことのかわりに鳴くオウム
私はたったまま遠ざかり
内なる地球に生卵
月にスペイン犬の砂
私はそれでも遠ざかり
アンドロギュヌスの都市が吠え
それは差異を孕った
貝殻 私 父 家族
卵 私 母 家庭
他人の皮膚のぬくもりも
やがて地球を月を腐らせる
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